No.5
<2009年度 第1回 研究局公開授業報告>
9月15日(火)品川区立平塚小学校にて
今年度初の研究局公開授業として、品川区立平塚小学校にて、宮内愛先生と第3学年の子どもたちとの授業が公開された。
題材名は「ホグってみれば…ラ・ラ・ラ」[A表現1]。
様々な関係性の中から宮内先生が考案された題材だ。宮内先生は研究協議会の自評で、図工の授業について「子どもがいつも歩いている延長上にあるといいと今は思っている」そして、「いつも子ども達の楽しいと感じる出来事は何だろう?」と考えていると語った。
図工室入り口で、子どもたち一人一人と言葉や目で挨拶を交わした宮内先生は、みんなを前に集め、今日の活動について話しはじめた。
授業者 宮内先生 宮内先生が子どもに向ける言葉・しぐさ・視線のひとつひとつが魅力的で、子どもたちは身体ごと聞き入り、これから出会う新しい世界へ関心を高めていたように思う。
本題材で、子どもはいろいろな材料に出会った。
お花紙・シュレッターにかけた切り紙・わら半紙・上質紙・紙テープ・毛糸・スタッフなど手触りの異なるいろいろな材料は、教室の真ん中に、何気なく、でも子どもが選択しやすいように、適当な量で置かれていた。
それら材料と出会った子どもたちは、自らが「丸める・ほぐる(ほじるの造語)」という行為を施すことで、徐々に形や感触が変容していくことを味わっていた。子どもたちは、手の内で、目の前で起こる一瞬一瞬の出来事を感じ楽しんでいた。そのような活動を通して、表したいことを見付けだしては試みてみたり、新たな発見をしては友達に伝えあったりしながら活動を進めていた。活動が進むほど、子どもたち
手触りの異なるいろいろな材料は、扱う材料をじっくり考え、工夫をはじめた。それと同時に、材料を扱う手や指の動きが表したいことに合わせて変わっていった。宮内先生は、子どもたちが、新しいことに気付いて報告したい時や活動に困り悩んでいる時など先生を必要としている時、決まってそばにそっと現れ対応していた。
研究協議会では、会場校副校長先生と辻会長から挨拶をいただいた後、研究局長 岡田先生から「研究テーマ、授業の中での子どもの夢中を考える時、その授業の中で子どものどのような活動に価値を置いているかということが大事になってくる。授業の中で、子どもの行為として通過させたいその価値がぶれないことが大事だと思う」という話があった。そして、授業者自評(上述)の後、研修参加者との協議が行われ、それらも受けて、講師の中村隆介先生(小平市立小平第九小学校 図工専科教諭)から、本時の授業について「子ども」「題材」「教師」の3つの観点でお話があった。まとめにならなく申し訳ないが、以下に、中村先生の言葉を抽出して載せたいと思う。
子ども
- 手の中で変容する材料、一瞬一瞬で起こっているその出来事に子どもたちはハッとしていた。本題材の活動には、形、色、イメージと具体的にかかわっていく時間と空間があった。活動が進みにつれて子どもは材料の種類や重ね方を考えていった。そういう姿が夢中になっている姿であり、子ども自身の中から感情があふれ出しているのが分かった。教師は子ども一人ひとりに起こったことを全部は見きれないが、見ようとすることが大事。教師が自分に近づいてくれているか子どもは感じ取っている。活動の中で、子どもにざわめきや揺らぎ、兆しがおこっていてよかった。
題材
- 破壊や分裂することによって気付くことや出会う世界、そういう向こう側の価値にどうやったら気付かせることができるか?を考えた題材であったと思う。丸める→ほぐすという行為が、作品化のためのトレーニングや準備としてのものではなかった。丸めることは、包まれながら自分の内に凝縮されて何かがこめられていき、ほぐすことは壊すという感じではなく、包んでいったものを大事に開いていき、新しい世界が出てくるといった期待に包まれていた。そして、子どもたちは身体の中でつかんでいったものは手の動かし方の変化や、材料を選ぶ様子に表れていた。
教師
- 先生というよりも、人間として自分の在り様を子どもの前に出していた。おしつけや役割としてやっている感じがしなかった。授業中、宮内先生はいいタイミングで子どものそばに表れた。子どもに起こる出来事をキャッチする能力にたけていて、驚きをともに共有していた。表情、声の大きさ、間、ニュアンスの変化など自然に子どもにしみ込んでいく接し方だった。失敗してもいい安心感があった。
「子ども・題材・教師、この3つが関係性をもち、融和することが子どものアートにつながっていく」と授業についてまとめてくださった。
講師 中村隆介先生そのあと、研究テーマ「夢中」についてもお話があった。そこでは、とくに対象と身体で出会うことの大切さについて語られた。「身体で対象と出会うことで、自分の内側に起こっていることに気付き、さらに出会い、また働きかけていく。ある出来事が偶然起こり、ますます夢中になっていく。そのことがうつろな自分ではなくしっかりと自分がここにいるという実感につながっていく。そして、自分の体で実感したことしか表わせられない。私たち大人は、子どもが子どもの時間を生きているということを、しっかりつかむことが大事なのだ」と話された。
中村先生の一つ一つの言葉・お話は、宮内先生の授業での子ども達の様子を思い浮かべながら聞けたので、参加者の心に響き、落ちてゆくものであったと思う。自分の学校にもち帰り、自校の子どもたちを前に、彼らとの関係を、題材を、そして自分自身をふりかえる良いきっかけを与えてもらえた一日であったと思う。
(新宿区立愛日小 金子 祐佳)
No.4
<2009年度 第4回都図研研究局会>
7月31日(金)杉並区立方南小学校にて
第4回目の研究局会は、7月31日(金)杉並区立方南小学校で行われました。午前中は、都図研城北大会の研究グループに分かれて、授業案を練りました。大会の授業者は、1年生で世田谷区立花見堂小学校の黒澤償さん、そして2年生で墨田区立押上小学校の平田耕介さんです。
どちらも、絵になりそうですが、夏休みの間研究を深めていきながら、子どもの姿からみえてきたものをもとに題材を設定したいと考えています。
午後は、「子どもの作品もちより研究会」が開かれました。
応募していただいた参加者も含めて50人ぐらいの研究会になりました。作品や、ひとつひとつの題材を語る指導者の話から子どもの姿がありありと見えてきました。人前で自分の指導した作品について語るのは、とても緊張したのではないでしょうか。みなさんの語る姿を見ながら、子どもをひらいていくためには、自分をひらくことが大切なのだと思いました。いろいろ指摘や質問もでましたが、2学期からの図工に生かしてほしいと思います。
ご参加頂いたみなさんには、9月初めには、題材をまとめたものをCDにしてお送りします。ご活用下さい。
No.3
<2009年度 第3回都図研研究局会>
7月9日(木)小平第三小学校にて
第三回の研究局会は7月9日(木)、小平第三小学校にて開催しました。前半は開催校の武田章成先生の授業を研究局員で参観しました。題材名は「カチカチストロー」。図工室に入ってきた子どもたちは、机の上に用意された、たくさんのきれいな色のストローに強く興味を示していました。まず最初に、自分で選んだ好きな色のストローをホチキスとはさみを使ってどんなことができるか子どもたちは試しました。ストローの先をはさみで切り開いたり、折り曲げてホチキスでとめたり・・・このようにストローと関わった後、新しい素材としてペットボトルが登場しました。「ペットボ
トルをストローで支えて浮かせること」を約束ごとにして、子どもたちの活動が始まりました。ペットボトルとストローを前にして、はじめは悩んでいた子どもたちも実際にストローに触れるなかで、自分でできることを発見していく様子が見られました。
授業後の協議会では、教師の思いを子どもたちにしっかり伝えることの大切さや、深く材料と関わるために材料を精選すること、2時間で子どもができることを想定して子どもに手渡すものを絞ること、などが話題に上がり、内容の濃い協議会となりました。
その他、7月末の子どもの作品持ち寄り研究会、2学期の公開授業などについての打ち合わせを行ないました。
No.2
<2009年度 第2回都図研研究局会>
5月26日(火)千代田区お茶の水小学校にて
第二回目の研究局会は、5月26日(火)、千代田区お茶の水小学校にて開催しました。前半は開催校の山田和弘先生の5・6時間目の授業を研究局員で参観しました。題材名は「ガムガムモンスター」。「図工室にモンスターが紛れこんでいる・・・実は目の前のガムテープはモンスターが化けている!」という子どもたちを釘付けにする山田先生の導入によって、子どもたちの「やってみたい!」という思いが大きく膨らんでいく様子が見られました。子どもたちが、ガムテープをひっぱったり、丸めたり、限界まで長く引き出したりする行為を全身で味わうその姿は、正にモンスターとの格闘。その格闘の末生まれたいくつもの形を一つに丸めたり、それぞれの形から発想して組み合わせたり。まるで粘土を扱うようにガムテープで自在に形を作り上げていく子どもたちの様子から、参観していた研究局員の多くが、ガムテープという素材の新たな可能性に驚かされました。
5時間目が終わるころには子どもたちがガムテープの中から見出したモンスターたちが姿を現しました。その後、凶暴なモンスターを自分たちの仲間にするために、チョークの粉やカラーセロファンテープ、マジックなどを使って色をつけました。
「モンスター」という大きな枠の中で、子どもたちが自由に発想し、ガムテープと関わる中で、自分のモンスターに愛着を持ち始める様子が見られました。
その後の実践報告会では、研究局員ひと題材ずつもちより、題材のねらいと造形的なきっかけを軸に紹介をしました。
今日のように、授業の実際を前に、子どもをみとり子どもの姿から考えることの大切さと同様に、子どもの作品を通して、子どもの活動、題材について互いに交流し合うことの大切さを感じました。
No.1
<2009年度 第1回都図研研究局会>
4月14日(火)渋谷区長谷戸小学校にて
記録 愛日小:柴田
4月14日(火)、平成21年度第一回研究局会を渋谷区長谷戸小学校で開催した。
昨年度に引き続き 研究局担当副会長 南育子先生、局長 岡田京子先生、副局長 大畑祐之先生でスタートした。局員は、新しい方2名を迎え、他19名 計23名で進めていく。第1回局会は全員参加で気持ちよいスタートとなった。
辻会長も参加してくださり、研究局のこれまでの授業研究について、「子どもの育ちをしっかりと見据えながら授業展開を図る姿勢がしっかり定着してきた。図画工作科教育活性化のための活動として中心部を担うのが研究局である。どうぞ頑張っていただきたい」とエールをいただいた。
また、南副会長からも「子どもの表現には言葉にはおきかえられない感動がたくさんあるはず。研究局ではそういう部分にも踏み込み、図工の専門性・独自性を子どもの表現そして姿を通して語りあえる場であってほしい」という言葉をもらった。
その後、岡田局長から、テーマについて『テーマ「子どもの夢中へとつづく道」のもと、今年度は、まず図工ならではの授業展開、場の設定、造形性といったことをこれまで以上に意識し、踏み込んだ題材、また子どもが身体を使ってものとかかわりながらつくりだす題材を開発・研究していきたい。理論が先走らないように常に子どもの姿に戻りながら進んでいきたい。』と今年の研究の柱について話された。大畑副局長が付け加えで、「研究局での授業研究が、行事におわれてやりっぱなしにならないように今年度はより授業を振り返り、次につなげていけるような研究にしたい」と話された。
局員それぞれが自己紹介をする中では、若い先生から「研究局での活動を通して、自分が図工専科であることに誇りがもて始めている。」というとてもうれしい話があった。
また、免許更新などの他の研修と重なりながらも、研究局の活動への意気込みを語ってくれた先生もいた。
その後、年間の予定を見通し、公開授業・大会授業・6月の美術館連携鑑賞研究・局内授業・その他の活動について、内容や担当者、日程などの話し合いをもった。
第一回目にして、盛りだくさんだったが、それぞれが考え、動き、つくりだしていこうとする空気が満ち溢れた局会であったと思う。











